精密農業は、アメリカなどで2000年代初頭から導入された農業の管理手法の一つです。
農地・農作物の状態を良く観察し、制御することで、農作物の収量及び品質の向上化を図ります。
世界人口の増加により、食料・飼料の需要が増えている中で、収穫量を増加させることは必須です。
日本では、食料自給率が100%を下回っており、就農人口も減少しています。
従来の農業に、画像解析やリモートセンシングなどを導入し、様々な視点からデータを分析・予測することで、効率化と生産性の向上が見込まれます。
人の手によって行われていた作業が、ドローンを活用することで、時間を短縮することができ、ドローンが収集したデータの一括管理と分析まで行うことができます。
精密農業×農業用ドローンの例
・ファームアイ株式会社
ファームアイ株式会社は、2017年10月に、ヤンマー株式会社とコニカミノルタ株式会社との合弁で設立された農業コンサルティング事業を展開する会社です。農業リモートセンシングのサービス事業会社として、ドローンによる圃場のセンシング・画像解析サービス、農作物の生育状況の診断と処方改善提案を行なっています。
農作物の生育状況をドローンによって撮影・分析し、作業の効率化、省力化を目指しています。
ヤンマー株式会社の持つ農業機械・営農支援の経験と、コニカミノルタ株式会社のセンシング・画像処理技術という強みを活かしたサービスを展開しているようです。
・株式会社オプティム
株式会社オプティムは、”楽しく、かっこよく、稼げる農業”を掲げ、AI・IoT・ビッグデータを活用したサービスを展開しています。目視で行なっていた圃場の確認作業を、ドローンによって確認し、虫食いや葉の変色といった異常をAIの解析によって検出します。
また、ドローンの集めた画像・映像によって、病害虫などの異常の早期発見、病害虫の特定まで可能なため、迅速に対応することができます。
スマホアプリを利用して農作業の記録を取るため、圃場に関わるデータを一括管理できます。
・ベジタリア株式会社
ベジタリア株式会社は、”NEXT GREEN REVOLUTION”を掲げ、IoTセンサ事業やクラウドデータ基盤事業、農業生産事業などを展開しています。気象や栽培管理などのデータの収集・解析や病害虫発生のメカニズムを把握し、防除対策を講じるといったサービスを提供しています。
昨年(2017年)の6月15日から8月7日にかけて、新潟市にてドローンによる水稲の空撮実証実験を行ったようです。
ベジタリア株式会社、新潟市、株式会社NTTドコモ、株式会社自律制御システム研究所が協力し、実験を行いました。
ドローンによる空撮画像を分析し、水稲の生育状況を把握することで、効率的な栽培管理の実現を目指しています。
撮影されたデータは、ベジタリア社が開発している解析ソフトによって、生育状況などを分析するのに使われます。
人手による測定値と、ドローンの空撮による測定とを比較し、ドローンの空撮だけでモニタリングできるかどうかを確かめました。
結果としては、67%に近い精度だったものの、未だ全てをドローンによる空撮に任せることはできないようです。
・Precision Hawk社
Precision Hawk社は、人工知能を搭載したドローンに関する研究開発を進めている、カナダ発の企業です。ドローンに様々な情報を収集させ、データを解析することで、コスト削減・生産量の増加に貢献します。
農薬散布が必要な場所のみに散布したり、データの解析を通して新たな農作地を発見するのに活用したり、といったことが可能です。
人工知能によって、最適な飛行経路の算出を行い、ドローンによって収集したデータを即座にクラウドサーバーへアップすることができます。
また、飛行中のドローン本体のモニタリングも行いますので、内部装置のパフォーマンスや、バッテリーの残量などを測定することで、ドローンの安全性も確保しています。
まとめ
今回は、精密農業とドローンの活用例についてご紹介いたしました。
農業用ドローンの需要は高まる一方ですが、精密農業に活かすのは簡単ではありません。
AIによる画像解析とクラウドサービスによるデータ管理、さらにそれに適したドローンの開発が必要になります。
高い技術力が求められる精密農業ですが、技術の進歩に伴い、今後ますます発展していくでしょう。